2015年12月27日

また19世紀後期にまつわる本を買ってしまった‬…③家永三郎『植木枝盛選集』他

【連載】"――‪#‎また19世紀後期にまつわる本を買ってしまった‬……"
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③家永三郎『植木枝盛選集』(岩波文庫) 他
http://www.amazon.co.jp/dp/4003310713

歴史上にイケメン多しといえども、戦国の真田幸村、幕末の沖田総司はいかんせん広まりすぎた。他の戦国武将、幕末志士らも同様である。しかし!まだ明治前期には有望な人材が埋もれている!その筆頭が植木枝盛だ。

また19世紀後期にまつわる本を買ってしまった‬…③家永三郎『植木枝盛選集』他

もちろんこの人物は単なる江口洋介似のイケメンではない。明治新政府の苛酷な圧政の中、真の自由を求めて言論により戦い、若くして散った奇才的英雄なのだ…!

時は大政奉還まもない明治前期。危機迫る国際情勢への対処とメイジノミクス(富国強兵)を掲げる長州主導の政権は、文明国として自由と人権を求める全国の人々の声(自由民権運動)を弾圧していた。

土佐(高知県)の民権運動の中心人物であった植木枝盛は、政府に虐げられない自由と人権を確立すべく、当時の日本にまだ無かった憲法の案(私擬憲法)を独自に書き上げた。その名も「東洋大日本国国憲按」。

しかし政府は植木ら民権派を排除して大日本帝国憲法を定め、ほどなく植木とその憲法草案は歴史から抹消された…。だが、明治時代が終わった後その足跡を掘り起こす人物が現れた!その名は鈴木安蔵。京都帝国大学在学中に学生運動で検挙・退学となるが、その後著名な学者に見出されて国会所属の研究者となり、歴史から葬られた植木らの私擬憲法を発掘する。

終戦直後、鈴木は他の学者らと「憲法研究会」を結成。植木らの私擬憲法をもとにした、新しい日本のための「憲法草案要綱」を発表する。この草案はGHQに大きな影響を与え、今の日本国憲法はこれが反映されたものとなっている…!

そして、昭和の時代この一連の歴史に光を当てたのが、今は亡き東京教育大学教授・家永三郎だった。なお奇しくも、東京教育大の屍の上に築かれた筑波大学は、家永の歴史を抹消している…。

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