2016年02月21日
1945 【現代語訳】憲法研究会「憲法草案要綱」
憲法草案要綱 憲法研究會案
高野岩三郎、馬場恒吾、杉森孝次郎、森戸辰男、岩淵辰雄、室伏高信、鈴木安蔵
現代語訳:山本泰弘
高野岩三郎、馬場恒吾、杉森孝次郎、森戸辰男、岩淵辰雄、室伏高信、鈴木安蔵
現代語訳:山本泰弘
根本原則(統治権)
1.1.日本国の統治権は日本国民が有する。
1.2.天皇は国政を自ら執り行わず、国政全ての最高責任者は内閣とする。
1.3.天皇は国民の委任により、専ら国家的儀礼を司る。
1.4.天皇が即位する際は、議会の承認を経ることとする。
1.5.摂政(天皇の代理または補佐役)を置くかどうかは議会が決める。
国民の権利や義務
2.1.国民は法律の前に平等であり、生まれや身分に基づくあらゆる差別は廃止する。
2.2.爵位(「公爵」や「伯爵」などの、貴族の身分)、勲章、その他の栄典は全て廃止する。
2.3.国民の言論・学術・芸術・宗教の自由を妨げるどのような法令も、発することはできない。
2.4.国民は、拷問を加えられることはない。
2.5.国民には、①国民請願、②国民発案、そして③国民投票の権利がある。
2.6.国民には、労働の義務がある。
2.7.国民には、労働し、その働きに対して報酬を受ける権利がある。
2.8.国民には、健康で文化的な生活を営む権利がある。
2.9.国民には、休息の権利がある。国家は、労働時間を一日8時間までとし、勤労者のために①有給休暇制度、②療養所、③社交や教養のためのインフラ を完備するべきである。
2.10.国民には、老いや病気、その他の事情によって働けなくなった場合に生活を保障してもらう権利がある。
2.11.男女は、社会的にも、個人間や家庭内でも、完全に平等な権利を持つ。
2.12.民族や人種による差別を禁じる。
2.13.国民には、①民主主義と平和思想に基づく人格の完成、②社会道徳の確立、③諸民族との共存共栄 に努める義務がある。
議会
3.1.議会は、次の機能を持つ。
①法律を作る権力を持つ。
②法律を議決する。
③国の予算と歳入および歳出を承認する。
④行政に関する規則を定める、その取り扱いを監督する。
なお、日本が外国と結ぶ条約のうち、法律で定める内容に関するものは、議会の承認を得なければならない。
3.2.議会は、第一院と第二院の二院制をとる。
3.3.第一院の議員の選び方は次のとおり。
①全国を一つの選挙区とする。
②満二十歳以上の男女が立候補できる。
③満二十歳以上の男女が投票できる。
④一人一人平等な票を持ち、議員を直接選ぶ。投票の秘密は守られる。
⑤政党ごとの得票数に応じて当選議員の多い少ないが決まる、比例代表制をとる。
なお、第一院の権限は第二院よりも優先する。
3.4.第二院の議員は、各種の職業のそれぞれの階層から、公の選挙で選ぶ。
3.5.法律案は、第一院において可決されれば、第二院において否決できない。
3.6.議会に休みは無い。もし議会が休会する場合は、常任委員会が代わりにその機能を果たす。
3.7.議会の会議は全て公開する。非公開の会議は行わない。
3.8.議会は、議長と書記官長を選出する。
3.9.議会は、憲法違反をはじめとする重大な過ちを追及するために、大臣や官僚を裁判に訴えることができる。その裁判を行うために、国事裁判所を設ける。
3.10.議会は、国民投票によって解散が決まったときは、すぐに解散しなければならない。
3.11.有権者の過半数が投票に参加する国民投票によるならば、議会の決議を無効にできる。
内閣
4.1.総理大臣は、第一院と第二院双方の推薦によって決める。各省庁の大臣やその他の国務大臣は、総理大臣が任命する。
4.2.内閣は、国際社会において日本国を代表する。
4.3.内閣は、議会に対し連帯責任を負う。つまり、内閣は議会の信任に基づいて成り立たなければならない。
4.4.内閣は、国民投票によって不信任と決まったときは、総辞職しなければならない。
4.5.内閣は、官僚を任命し、罷免する。
4.6.内閣は、国民の名において恩赦(特別に刑を軽くする)を行う。
4.7.内閣は、法律を執行するために命令を発する。
司法
5.1.司法権を司る裁判所は、裁判所構成法と陪審法に基づき、国民の名によって裁判を行う。
5.2.裁判官は独立であり、ただ法律のみに従う。
5.3.大審院(最高裁判所)は、最高の司法機関であり、全ての下級司法機関を監督する。
大審院長は、公の選挙によって選び、国事裁判院長を兼ねる。
大審院判事は、第二院の議長の推薦と第二院の承認を経て就任する。
5.4.行政裁判所長と検事総長は、公の選挙によって選ぶ。
5.5.検察官は、行政機関から独立である。
5.6.裁判で無罪の判決を受けた者に対しては、国家が十分な補償を行うこととする。
会計と財政
6.1.国の歳出と歳入は、毎年度詳細かつ明確に予算に表し、年度の開始前に法律として定める。
6.2.事業会計については、毎年事業計画書を提出し、議会の承認を得ることとする。
事業会計についてのみ、特別会計を設けることができる。
6.3.税を課し、税率を変更することは、一年ごとに法律によって定めることとする。
6.4.国債やその他予算に定めたものを除き、国家財政の負担となる契約については一年ごとに議会の承認を得ることとする。
6.5.皇室費は、一年ごとに議会の承認を得ることとする。
6.6.予算案はまず第一院に提出するものとする。第一院で承認された項目および金額については、第二院が否決することはできない。
6.7.税は公正に課すものとする。消費にかかる税に偏重して国民に過剰な負担をかけることは禁じる。
6.8.歳入および歳出の決算は速やかに会計検査院に提出して検査を受けた後、次の年度に議会に提出し、それが承認されたら政府の責任は果たされたとする。
会計検査院の組織と権限は、法律によって定める。会計検査院長は、公の選挙で選ぶ。
経済
7.1.経済活動は国民各自が人間に値すべき健全な生活を送れることを目的とし、正義・進歩・平等の原則に適合しなければならない。
各人の私的所有権と経済的自由は、この限度内で保障される。
所有権には、公共の利益に役立つべき義務が伴う。
7.2.土地の分配および利用は、全ての国民に健康な生活を保障できるようになされることとする。
寄生的土地所有ならびに封建的小作料は、禁止する。
7.3.著作者・発明家・芸術家の権利は保護される。
7.4.労働者をはじめ、全ての勤労者は、労働条件改善のための結社と運動の自由が保障される。
これを制限したり妨害したりする法令、契約、および処置は全て禁止する。
補則
8.1.憲法は、国会で議員の三分の二が出席し、出席議員の半数以上が同意して改正が決議されたとき、改正される。
国民請願に基づき、憲法の改正を国民投票によって決める場合は、有権者の過半数の同意があれば憲法は改正される。
8.2.この憲法の規定ならびに精神に反する全ての法令および制度は、直ちに廃止する。
8.3.皇室典範は、議会の審議を経て定めなければならない。
8.4.この憲法が公布された後十年以内に、国民投票により新たな憲法を定めるものとする。
〔原文〕
根本原則(統治権)
一、日本国ノ統治権ハ日本国民ヨリ発ス
一、天皇ハ国政ヲ親ラセス国政ノ一切ノ最高責任者ハ内閣トス
一、天皇ハ国民ノ委任ニヨリ専ラ国家的儀礼ヲ司ル
一、天皇ノ即位ハ議会ノ承認ヲ経ルモノトス
一、摂政ヲ置クハ議会ノ議決ニヨル
国民権利義務
一、国民ハ法律ノ前ニ平等ニシテ出生又ハ身分ニ基ク一切ノ差別ハ之ヲ廃止ス
一、爵位勲章其ノ他ノ栄典ハ総テ廃止ス
一、国民ノ言論学術芸術宗教ノ自由ニ妨ケル如何ナル法令ヲモ発布スルヲ得ス
一、国民ハ拷問ヲ加へラルルコトナシ
一、国民ハ国民請願国民発案及国民表決ノ権利ヲ有ス
一、国民ハ労働ノ義務ヲ有ス
一、国民ハ労働ニ従事シ其ノ労働ニ対シテ報酬ヲ受クルノ権利ヲ有ス
一、国民ハ健康ニシテ文化的水準ノ生活ヲ営ム権利ヲ有ス
一、国民ハ休息ノ権利ヲ有ス国家ハ最高八時間労働ノ実施勤労者ニ対スル有給休暇制療養所社交教養機関ノ完備ヲナスヘシ
一、国民ハ老年疾病其ノ他ノ事情ニヨリ労働不能ニ陥リタル場合生活ヲ保証サル権利ヲ有ス
一、男女ハ公的並私的ニ完全ニ平等ノ権利ヲ享有ス
一、民族人種ニヨル差別ヲ禁ス
一、国民ハ民主主義並平和思想ニ基ク人格完成社会道徳確立諸民族トノ協同ニ努ムルノ義務ヲ有ス
議会
一、議会ハ立法権ヲ掌握ス法律ヲ議決シ歳入及歳出予算ヲ承認シ行政ニ関スル準則ヲ定メ及其ノ執行ヲ監督ス条約ニシテ立法事項ニ関スルモノハ其ノ承認ヲ得ルヲ要ス
一、議会ハ二院ヨリ成ル
一、第一院ハ全国一区ノ大選挙区制ニヨリ満二十歳以上ノ男女平等直接秘密選挙(比例代表ノ主義)ニヨリテ満二十歳以上ノ者ヨリ公選セラレタル議員ヲ以テ組織サレ其ノ権限ハ第二院ニ優先ス
一、第二院ハ各種職業並其ノ中ノ階層ヨリ公選セラレタル満二十歳以上ノ議員ヲ以テ組織サル
一、第一院ニ於テ二度可決サレタル一切ノ法律案ハ第二院ニ於テ否決スルヲ得ス
一、議会ハ無休トス
ソノ休会スル場合ハ常任委員会ソノ職責ヲ代行ス
一、議会ノ会議ハ公開ス秘密会ヲ廃ス
一、議会ハ議長並書記官長ヲ選出ス
一、議会ハ憲法違反其ノ他重大ナル過失ノ廉ニヨリ大臣並官吏ニ対スル公訴ヲ提起スルヲ得之カ審理ノ為ニ国事裁判所ヲ設ク
一、議会ハ国民投票ニヨリテ解散ヲ可決サレタルトキハ直チニ解散スヘシ
一、国民投票ニヨリ議会ノ決議ヲ無効ナラシムルニハ有権者ノ過半数カ投票ニ参加セル場合ナルヲ要ス
内閣
一、総理大臣ハ両院議長ノ推薦ニヨリテ決ス
各省大臣国務大臣ハ総理大臣任命ス
一、内閣ハ外ニ対シテ国ヲ代表ス
一、内閣ハ議会ニ対シ連帯責任ヲ負フ其ノ職ニ在ルニハ議会ノ信任アルコトヲ要ス
一、国民投票ニヨリテ不信任ヲ決議サレタルトキハ内閣ハ其ノ職ヲ去ルヘシ
一、内閣ハ官吏ヲ任免ス
一、内閣ハ国民ノ名ニ於テ恩赦権ヲ行フ
一、内閣ハ法律ヲ執行スル為ニ命令ヲ発ス
司法
一、司法権ハ国民ノ名ニヨリ裁判所構成法及陪審法ノ定ムル所ニヨリ裁判之ヲ行フ
一、裁判官ハ独立ニシテ唯法律ニノミ服ス
一、大審院ハ最高ノ司法機関ニシテ一切ノ下級司法機関ヲ監督ス
大審院長ハ公選トス国事裁判所長ヲ兼ヌ
大審院判事ハ第二院議長ノ推薦ニヨリ第二院ノ承認ヲ経テ就任ス
一、行政裁判所長検事総長ハ公選トス
一、検察官ハ行政機関ヨリ独立ス
一、無罪ノ判決ヲ受ケタル者ニ対スル国家補償ハ遺憾ナキヲ期スヘシ
会計及財政
一、国ノ歳出歳入ハ各会計年度毎ニ詳細明確ニ予算ニ規定シ会計年度ノ開始前ニ法律ヲ以テ之ヲ定ム
一、事業会計ニ就テハ毎年事業計画書ヲ提出シ議会ノ承認ヲ経ヘシ
特別会計ハ唯事業会計ニ就テノミ之ヲ設クルヲ得
一、租税ヲ課シ税率ヲ変更スルハ一年毎ニ法律ヲ以テ之ヲ定ムヘシ
一、国債其ノ他予算ニ定メタルモノヲ除ク外国庫ノ負担トナルヘキ契約ハ一年毎ニ議会ノ承認ヲ経ヘシ
一、皇室費ハ一年毎ニ議会ノ承認ヲ経ヘシ
一、予算ハ先ツ第一院ニ提出スヘシ其ノ承認ヲ経タル項目及金額ニ就テハ第二院之ヲ否決スルヲ得ス
一、租税ノ賦課ハ公正ナルヘシ苟モ消費税ヲ偏重シテ国民ニ過重ノ負担ヲ負ハシムルヲ禁ス
一、歳入歳出ノ決算ハ速ニ会計検査院ニ提出シ其ノ検査ヲ経タル後之ヲ次ノ会計年度ニ議会ニ提出シ政府ノ責任解除ヲ求ムヘシ
会計検査院ノ組織及権限ハ法律ヲ以テ之ヲ定ム
会計検査院長ハ公選トス
経済
一、経済生活ハ国民各自ヲシテ人間ニ値スヘキ健全ナル生活ヲ為サシムルヲ目的トシ正義進歩平等ノ原則ニ適合スルヲ要ス
各人ノ私有並経済上ノ自由ハ此ノ限界内ニ於テ保障サル
所有権ハ同時ニ公共ノ権利ニ役立ツヘキ義務ヲ要ス
一、土地ノ分配及利用ハ総テノ国民ニ健康ナル生活ヲ保障シ得ル如ク為サルヘシ
寄生的土地所有並封建的小作料ハ禁止ス
一、精神的労作著作者発明家芸術家ノ権利ハ保護セラルヘシ
一、労働者其ノ他一切ノ勤労者ノ労働条件改善ノ為ノ結社並運動ノ自由ハ保障セラルヘシ
之ヲ制限又ハ妨害スル法令契約及処置ハ総テ禁止ス
補則
一、憲法ハ立法ニヨリ改正ス但シ議員ノ三分ノ二以上ノ出席及出席議員ノ半数以上ノ同意アルヲ要ス
国民請願ニ基キ国民投票ヲ以テ憲法ノ改正ヲ決スル場合ニ於テハ有権者ノ過半数ノ同意アルコトヲ要ス
一、此ノ憲法ノ規定並精神ニ反スル一切ノ法令及制度ハ直チニ廃止ス
一、皇室典範ハ議会ノ議ヲ経テ定ムルヲ要ス
一、此ノ憲法公布後遅クモ十年以内ニ国民授票ニヨル新憲法ノ制定ヲナスヘシ
根本原則(統治権)
一、日本国ノ統治権ハ日本国民ヨリ発ス
一、天皇ハ国政ヲ親ラセス国政ノ一切ノ最高責任者ハ内閣トス
一、天皇ハ国民ノ委任ニヨリ専ラ国家的儀礼ヲ司ル
一、天皇ノ即位ハ議会ノ承認ヲ経ルモノトス
一、摂政ヲ置クハ議会ノ議決ニヨル
国民権利義務
一、国民ハ法律ノ前ニ平等ニシテ出生又ハ身分ニ基ク一切ノ差別ハ之ヲ廃止ス
一、爵位勲章其ノ他ノ栄典ハ総テ廃止ス
一、国民ノ言論学術芸術宗教ノ自由ニ妨ケル如何ナル法令ヲモ発布スルヲ得ス
一、国民ハ拷問ヲ加へラルルコトナシ
一、国民ハ国民請願国民発案及国民表決ノ権利ヲ有ス
一、国民ハ労働ノ義務ヲ有ス
一、国民ハ労働ニ従事シ其ノ労働ニ対シテ報酬ヲ受クルノ権利ヲ有ス
一、国民ハ健康ニシテ文化的水準ノ生活ヲ営ム権利ヲ有ス
一、国民ハ休息ノ権利ヲ有ス国家ハ最高八時間労働ノ実施勤労者ニ対スル有給休暇制療養所社交教養機関ノ完備ヲナスヘシ
一、国民ハ老年疾病其ノ他ノ事情ニヨリ労働不能ニ陥リタル場合生活ヲ保証サル権利ヲ有ス
一、男女ハ公的並私的ニ完全ニ平等ノ権利ヲ享有ス
一、民族人種ニヨル差別ヲ禁ス
一、国民ハ民主主義並平和思想ニ基ク人格完成社会道徳確立諸民族トノ協同ニ努ムルノ義務ヲ有ス
議会
一、議会ハ立法権ヲ掌握ス法律ヲ議決シ歳入及歳出予算ヲ承認シ行政ニ関スル準則ヲ定メ及其ノ執行ヲ監督ス条約ニシテ立法事項ニ関スルモノハ其ノ承認ヲ得ルヲ要ス
一、議会ハ二院ヨリ成ル
一、第一院ハ全国一区ノ大選挙区制ニヨリ満二十歳以上ノ男女平等直接秘密選挙(比例代表ノ主義)ニヨリテ満二十歳以上ノ者ヨリ公選セラレタル議員ヲ以テ組織サレ其ノ権限ハ第二院ニ優先ス
一、第二院ハ各種職業並其ノ中ノ階層ヨリ公選セラレタル満二十歳以上ノ議員ヲ以テ組織サル
一、第一院ニ於テ二度可決サレタル一切ノ法律案ハ第二院ニ於テ否決スルヲ得ス
一、議会ハ無休トス
ソノ休会スル場合ハ常任委員会ソノ職責ヲ代行ス
一、議会ノ会議ハ公開ス秘密会ヲ廃ス
一、議会ハ議長並書記官長ヲ選出ス
一、議会ハ憲法違反其ノ他重大ナル過失ノ廉ニヨリ大臣並官吏ニ対スル公訴ヲ提起スルヲ得之カ審理ノ為ニ国事裁判所ヲ設ク
一、議会ハ国民投票ニヨリテ解散ヲ可決サレタルトキハ直チニ解散スヘシ
一、国民投票ニヨリ議会ノ決議ヲ無効ナラシムルニハ有権者ノ過半数カ投票ニ参加セル場合ナルヲ要ス
内閣
一、総理大臣ハ両院議長ノ推薦ニヨリテ決ス
各省大臣国務大臣ハ総理大臣任命ス
一、内閣ハ外ニ対シテ国ヲ代表ス
一、内閣ハ議会ニ対シ連帯責任ヲ負フ其ノ職ニ在ルニハ議会ノ信任アルコトヲ要ス
一、国民投票ニヨリテ不信任ヲ決議サレタルトキハ内閣ハ其ノ職ヲ去ルヘシ
一、内閣ハ官吏ヲ任免ス
一、内閣ハ国民ノ名ニ於テ恩赦権ヲ行フ
一、内閣ハ法律ヲ執行スル為ニ命令ヲ発ス
司法
一、司法権ハ国民ノ名ニヨリ裁判所構成法及陪審法ノ定ムル所ニヨリ裁判之ヲ行フ
一、裁判官ハ独立ニシテ唯法律ニノミ服ス
一、大審院ハ最高ノ司法機関ニシテ一切ノ下級司法機関ヲ監督ス
大審院長ハ公選トス国事裁判所長ヲ兼ヌ
大審院判事ハ第二院議長ノ推薦ニヨリ第二院ノ承認ヲ経テ就任ス
一、行政裁判所長検事総長ハ公選トス
一、検察官ハ行政機関ヨリ独立ス
一、無罪ノ判決ヲ受ケタル者ニ対スル国家補償ハ遺憾ナキヲ期スヘシ
会計及財政
一、国ノ歳出歳入ハ各会計年度毎ニ詳細明確ニ予算ニ規定シ会計年度ノ開始前ニ法律ヲ以テ之ヲ定ム
一、事業会計ニ就テハ毎年事業計画書ヲ提出シ議会ノ承認ヲ経ヘシ
特別会計ハ唯事業会計ニ就テノミ之ヲ設クルヲ得
一、租税ヲ課シ税率ヲ変更スルハ一年毎ニ法律ヲ以テ之ヲ定ムヘシ
一、国債其ノ他予算ニ定メタルモノヲ除ク外国庫ノ負担トナルヘキ契約ハ一年毎ニ議会ノ承認ヲ経ヘシ
一、皇室費ハ一年毎ニ議会ノ承認ヲ経ヘシ
一、予算ハ先ツ第一院ニ提出スヘシ其ノ承認ヲ経タル項目及金額ニ就テハ第二院之ヲ否決スルヲ得ス
一、租税ノ賦課ハ公正ナルヘシ苟モ消費税ヲ偏重シテ国民ニ過重ノ負担ヲ負ハシムルヲ禁ス
一、歳入歳出ノ決算ハ速ニ会計検査院ニ提出シ其ノ検査ヲ経タル後之ヲ次ノ会計年度ニ議会ニ提出シ政府ノ責任解除ヲ求ムヘシ
会計検査院ノ組織及権限ハ法律ヲ以テ之ヲ定ム
会計検査院長ハ公選トス
経済
一、経済生活ハ国民各自ヲシテ人間ニ値スヘキ健全ナル生活ヲ為サシムルヲ目的トシ正義進歩平等ノ原則ニ適合スルヲ要ス
各人ノ私有並経済上ノ自由ハ此ノ限界内ニ於テ保障サル
所有権ハ同時ニ公共ノ権利ニ役立ツヘキ義務ヲ要ス
一、土地ノ分配及利用ハ総テノ国民ニ健康ナル生活ヲ保障シ得ル如ク為サルヘシ
寄生的土地所有並封建的小作料ハ禁止ス
一、精神的労作著作者発明家芸術家ノ権利ハ保護セラルヘシ
一、労働者其ノ他一切ノ勤労者ノ労働条件改善ノ為ノ結社並運動ノ自由ハ保障セラルヘシ
之ヲ制限又ハ妨害スル法令契約及処置ハ総テ禁止ス
補則
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1874 板垣退助 他「愛国公党本誓」
1875 【現代語訳&講釈】竹下弥平憲法構想
1881 【現代語訳】千葉卓三郎「五日市憲法(日本帝国憲法)」
1881 【現代語訳】植木枝盛「東洋大日本国国憲按」
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1881 【現代語訳】千葉卓三郎「五日市憲法(日本帝国憲法)」
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Posted by 山本泰弘 at 01:54│Comments(0)
│【現代語訳】
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