2015年12月29日

‪‎また19世紀後期にまつわる本を買ってしまった‬…⑤エミール・ゾラ『ジェルミナール』

【連載】"――‪#‎また19世紀後期にまつわる本を買ってしまった‬……"
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⑤エミール・ゾラ『ジェルミナール』(中公文庫)
http://www.amazon.co.jp/dp/4122021146



"キャラクターが可愛らしくいかにもハートフルそうなストーリーかと思いきや、ふたを開ければ残忍冷血な作品"が巷を賑わせる昨今だが、1885年にそれをやってしまったのが本書。

主人公は、職を失い場末の炭鉱町へ流れ着いた青年。見習い鉱夫として働き始めるが、暗闇の現場で彼に指図するのは年端もいかぬ少年…と思いきや、よく見れば女の子だった!「そうだともさ……ほんとに!やっとわかったの!」極貧家庭に運命づけられ、外の世界を知ることなく働いているのである――。

 …ここでティン!ときてしまった貴方、もはや無駄な忠告かもしれないが早まらないでほしい。早くも書を紐解いてしまった紳士は、せいぜい結末にきっと希望があることを信じて読破されたい。

徐々に鉱夫らの信頼を得ていった主人公は、鉱夫一家であるその少女の家に居候することになる――。

 …お願いだから注文は待ってほしい。
 ゾラ先生はまだ本領を発揮していない…!

貧困の炭鉱町に突如激震が走る。炭鉱を所有する資本家が、賃金の大幅切り下げを言い渡してきた!
主人公は激怒する鉱夫らのリーダーとなり、資本家との対決に進む…!

 …おお、さすがは社会派ゾラ先生。当時の社会問題へ真正面から突入します。主人公はこの戦いを経て圧倒的成長するんですねわかります!
 …そう思っていた時期が、僕にもありました――。

ライバル「ヒロイン…たった一人の、俺の嫁…」
活動家「僕と契約して、党員になってよ!」
資本家「愚か者が相手なら、私は手段を選ばない。」
ヒロイン母「あたしらって、ほんとバカ」
過激派「爆薬も、仕掛けも、あるんだよ」

 …そこから数百頁にわたって畳み掛けられる絶望の数々には、自分の中の未知なる感覚が芽生えそう。奇しくも「ジェルミナール」とは「芽生え月」の意。そんな伏線だなんて悔しい・・・!でも(ry

 それでもなお読みたいという貴方、僕はもう止めません。。。
 はなむけにお教えしましょう。最終局面、全てを失い、捨てた主人公が、それまでの悲劇が夢であるかのように希望を唱えて旅立つシーンは痛快です…!痛くて、快い――そんな境地へ連れていってくれる作品です!!


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