2010年05月01日

学士論文 あとがき

あとがき
 前世紀、環境問題や社会問題の数々は経済活動による負の影響として捉えられてきた。それが近年、それらの課題解決や貢献がビジネスチャンスになるという捉え方が優勢になり、そしていまや経済活動の最源流である国際金融のレベルで、環境や社会への貢献は経済活動上不可欠な要素として追求されている。利益追求の、しかも投資家も、金融機関も、事業者も、そして社会における他のステイクホルダーものすべての利益を追求した結果としてこのパラダイム転換が起こったのである。ここに筆者は、国際社会における巧妙かつ大胆な課題解決の一つの形を視る。

 企業や国家による社会的責任行動の実現は、一見理想主義的な目標であった。実際、環境や持続可能性、労働者・消費者や住民の権利に対する価値は国際的枠組みで公認されたことが大きな根拠となっている。他方では、国際的枠組みでの合意形成により社会的責任の重視が投資利潤を得る、投資家からの高い評価を得る、新たな評価基準での競争で優位を得る、という各主体の現実主義的行動が社会的責任行動を実現させたと捉えられる。社会的責任投資の発展過程にはこの二つの"主義"の絡み合いが見て取れることに興味深さを感じる。

 果たしてこの領域はいかなる分野なのか。投資は経済領域であって、本稿は経済学・金融論には触れていない。「国際的枠組み」は政治的合意がなされる場だが政治家も国民も登場せず、国連機関もいたりいなかったりする。いくつかの「原則」は法の一形態と言えるのか。「コミュニティ金融」は地域開発で成果を挙げているではないか。事業者の情報開示や説明責任はコミュニケーション領域ではないか。今世紀当面の時代の課題解決には、このような無遠慮な領域横断の視野が活きると信じたい。


2010年1月19日  山本泰弘

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