2010年05月01日

学士論文 第2章 第3節 第2項 金融機関自体の社会的事業

第2章 社会的責任投資の動向
第3節 民間金融機関
第2項 金融機関自体の社会的事業



 金融機関の中には、労働金庫・信用金庫のように非営利で運営されている*ものや、地域の事業者・個人を主な融資顧客とする地方銀行がある。また、地域単位の金融機関を中心として、地域の市民活動・環境保全・文化事業を支援したりNPOへの融資を行う例がある。これらを金融機関の公共性を比較的よく反映した事業活動として評価し、このような事業を行う金融機関への預金を社会的責任投資と考えることができる。

 信用金庫は、信用金庫法に基づく地域単位の金融機関で、中小企業や地域住民による会員制を基本とする。会員であるか否かに関わらず一般から預金を募り、地域の事業者や個人に融資を行う(非会員は一定の条件を満たす必要がある)。銀行との違いとしては、株式会社である銀行は事業において株主の利益追求という目的が避けられないのに対し信用金庫は法律で非営利が定められている(生じた利益は事業のために活用される)点、それにより銀行は大企業を主な取引先とするのに対し信用金庫は地域の中小事業者や個人を対象とした金融事業を趣旨とする点、議決権が銀行は持ち株数に比例するのに対し信用金庫は会員に対等に配分される点が挙げられている。*
 労働金庫は、労働金庫法に基づく労働組合や生活協同組合を基盤とした金融機関である。企業ではなく個人を融資対象とする*・広域の事業エリアが定められている という差はあるが、労働者・生活者を対象とした非営利業務を行う点、など、業務のあり方と趣旨は前述の信用金庫と大きく共通する。*
 これらに類するものとして、営利組織ではあるが地方銀行も地域経済や地域住民への金融サービスを趣旨とした金融機関として評価を与える向きもある。*
 非営利である信用金庫・労働金庫は、第1章第1節で挙げた株主利益パラダイムに基づく諸問題に比較的関与の薄い金融機関として捉えられる。また、地方銀行はその諸問題のうち「大都市圏への投資集中」に比較的寄与が薄いと捉えられる。


 上記のような地域金融機関の多くで、業務の中でも特に地域の利益に主眼を置いた社会的事業が設けられている。従来より寄附・助成といった社会への利益還元事業という形が典型的であったが、金融機関としての存在を活かし融資や募債という形での業務上での社会貢献が目立つようになった。

 行政書士法人甲子園法務総合事務所によると、全国13の労働金庫の全てと、25の信用金庫、7つの地方銀行、そして政府系金融機関として国民生活金融公庫がNPO法人対象の融資制度を設けている。これらの制度は無担保で比較的少額の資金を融資するのが一般的とされている。また東北・長野の2労働金庫は県*と、近畿労働金庫は京都労働者福祉協議会や 地域NPOの支援などを行う特定非営利活動法人きょうとNPOセンターと提携しての制度としている。

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